旅の喫茶店で

tat__tat2009-10-04

霧島 昇 歌:昭和15年12月発売:(コロムビア 100011)
            高橋 掬太郎 作詞:服部 良一 作曲


夏のハナシをする前に「秋」が来てしまいました。(毎度のことだけどね)


晩秋を思わせるしっとりとしたタンゴ、そして歌唱。
街の喫茶店に腰掛ける旅人。秋雨に冷え切った体を温める、一杯・・・・
とムーディーにストーリーが進展していきます。


ご存じの通りコーヒー豆は赤道をはさんだごく一部の地域に限られ、我が国では
小笠原諸島でわずかに栽培されているほか大多数は輸入に頼っています。


ところで我が国に「コーヒー」なるものが登場するのは江戸末期。一般に浸透する
のは明治半ば〜大正時代にかけて、のようですね。
昭和になってからは女給と酒のイメージが強い「カフェー」といわゆる純然たる喫茶店
にわかれ、その数も飛躍的に増大しました。


しかし戦争が始まると次第に輸入規制がかかってきます
この曲が流れていた頃はすでに輸入が困難になっていてなかなか珈琲の飲める喫茶店
現実には数少なくなっていました。
歌詞でも旅人が口にするのは「冷めた紅茶」で、なんとなく時代を間接的に描写しているように
思えますね。



戦後コーヒー豆の輸入が再会し珈琲の“春”が訪れるのは昭和25年のことです。